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旅先一夜恋愛

旅先で会った人のことを、名前しか知らない

36歳 · 女性 · 約4

編集部制作 — 実話かどうかは、想像にお任せします

一人旅の夜、バーで知り合った男性。仕事も住所も聞きませんでした。知っているのは、下の名前だけです。

35歳の終わりに、一人で旅行しました。

二日目の夜、一人で小さなバーに入りました。

隣にいた男性から、

「一人ですか?」

と聞かれました。

彼も一人旅でした。

仕事も住所も聞きませんでした。

お互い名前だけ名乗りました。

不思議なくらい話しました。

知らない人だから話せることってあるんですね。

店を出たあと、海が見える場所で二人で座りました。

「明日もここにいる?」

「います」

「俺、明日帰るんですよ」

「そうなんだ」

なぜか少し残念でした。

彼が私の顔を見ました。

私も目を逸らしませんでした。

そこでキスしました。

そのあと彼の部屋へ行きました。

翌朝、カーテンを開けると海が見えました。

ホテルの小さなカップで二人でコーヒーを飲みました。

チェックアウトが近づいて、

「連絡先交換する?」

と聞かれました。

少し考えて、

「やめとこうかな」

と言いました。

彼も、

「俺もその方がいい気がする」

と言いました。

駅まで一緒に歩きました。

改札の前で、

「じゃあ」

「うん。またね」

二人とも、また会わないことは分かっていたと思います。

彼について知っているのは下の名前だけです。

漢字すら知りません。

SNSで探そうと思えば探せたかもしれません。

でも一度も探していません。

人生の中に、一晩だけ存在した人。

そのくらいの距離だから、ずっときれいなまま覚えていられるのかもしれません。

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